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土用の丑の日に鰻を食べる理由はなぜ?うなぎ以外に食べるものは?

「土用の丑の日」という言葉は夏の時期になるとテレビやスーパーなんかで頻繁に目や耳にしますね。

「土用の丑の日には鰻を食べる」ということは皆さんもご存知かと思いますが、なぜ鰻を食べるのか、ということまでご存知ですか?
そして実は鰻以外にも食べる良いとされる食べ物がいくつかあるというのはご存知でしたか?

そもそも土用とは?丑の日っていつのこと?

改めて考えると結構謎の覆い「土用の丑の日」について今回は解き明かしていきたいと思います!

土用の丑の日とは?

うなぎの話に入る前に、土用の丑の日とは何かを確認しておきましょう。

土用とは?

間違えて覚えている人もいるかもしれませんので最初に言っておきますが「土曜」ではありませんよ、「土用」です!
まずはこの「土用」の意味を知っておきましょう。

土用というのは、立春・立夏・立秋・立冬それぞれの直前の18日、または19日間のことを言います。
つまり「土用」は春夏秋冬で年4回あるわけですね。
2018年は、7月20日から立秋(8月7日)の前日、8月6日までが「夏の土用」となっています。

大昔に中国から渡ってきた「五行思想」ではすべての事柄は、木・火・土・金・水、5つの元素からできていると考えられてます。

季節も同じように春は木、夏は火、秋は金、冬は水というふうに当てはめられています。土にあたる季節がありませんよね?
そこでそれぞれの季節の境目を土とするようになったのです。

丑の日とは?

次に「丑の日」について。くどいようですが「牛」ではありませんよ、「丑」です!十二支の丑のことです。

十二支というと、子年丑年…と干支を思い浮かべるかもしれませんが、実は干支以外にも十二支は方角を示すときや、日付を表すときに使われていました。

十二支によって日付を表したものを「日干支」と言い、12日周期で繰り返しています。
子の日から始まって亥の日までいったら次の日はまた子の日です。
つまり「丑の日」とは単純に日干支によって「丑の日」と定められた日のことです。

土用の丑の日とは?

「土用」と「丑の日」が分かれば後はもう理解できたも同然ですよね。
つまり「土用の丑の日」は土用の期間中にある丑の日のことです。

丑の日は土用の期間中に2回ある場合も多く、2回目の丑の日を「二の丑」と言います。

土用の期間は18~19日間で日干支は12日周期の繰り返しですから、土用の開始日が何の日干支かによって「丑の日」は1回だったり2回だったりするわけです。

土用の丑の日にうなぎを食べるのはなぜ?

ではなぜ土用の丑の日に鰻を食べるようになったかを紹介します。

その1:平賀源内が発案したという説

有名なのは平賀源内が知人の鰻屋に相談されて考案されたとする説。

夏になると鰻の売り上げが落ちることを鰻屋が源内に相談しました。

源内は鰻屋の店先に「本日丑の日」と書いたものを出すという案を思いついたのです。

鰻屋がその案を実行したところ大成功し、他の鰻屋もこぞって真似をしていくうちに「土用の丑の日には鰻を食べる」という風習として定着したのでした。

この風習が定着した背景には、そもそも「丑の日には“う”のつくものを食べると良い」という風習がありました。
これについては後で詳しく解説しますが、とにかく源内はこの風習をうまく利用して、夏に旬ではない鰻を売るための宣伝文句「土用の丑の日」を生み出したのです。

ちなみにすでに説明したように「土用の丑の日」は年に何回かあることになります。
この源内と鰻屋のエピソードから「土用の丑の日」と言われたら、一般的には「夏の(立秋前)土用の丑の日」のことです。

その2:奈良時代に発祥したという説

そしてもう一つ、平賀源内発案説に隠れてしまっていますが、奈良時代に発祥したという説もあります。
以下は奈良時代の貴族・歌人であった大伴家持が詠んだ歌です。

石麻呂に吾れもの申す夏痩せに
よしといふものぞむなぎとり召せ

簡単に解説しますと、石麻呂という人に大伴家持が「夏痩せにはむなぎ(うなぎ)がいいよ」とすすめたという内容の歌です。

この歌から、夏には鰻が良いと広まり風習として定着したとされる説でした。こんなに昔から日本人は鰻を食べて力をつけていたんですね!

土用の丑の日、うなぎ以外だと何が関係ある?

上記で説明しましたが、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着した背景には、そもそも丑の日には“う”のつくものを食べると良いという風習があったのでしたね。

以下に“う”のつく食べ物を紹介していきます!

・きゅうり
ウリ科ということで“う”の扱いです。カリウムが豊富で、体の余分な熱を取り除いてくれます。

・うどん
消化吸収に優れているので夏バテで食欲がないときでもエネルギー補給ができます。

・梅干し
クエン酸が豊富で疲労回復に効果アリです。

・牛、馬
夏バテで落ちたスタミナを回復してくれます。

土用の丑の日についてまとめ

いかがでしたか? 「土用の丑の日」というのは平賀源内が考えた日本で最初のキャッチコピーと言われています。
実は鰻の旬ではないというのには驚きですよね!

しかし旬ではないとはいえ鰻は夏バテに効く栄養が豊富ということは奈良時代からわかっていたんですね。

鰻以外に紹介した“う”のつく食べ物も夏バテに効くものばかり。
まだ栄養学ものなかったのに…昔の人は経験でわかっていたのでしょうか?恐るべしです!

鰻は絶滅危惧種に指定されていますから、今年は鰻以外の“う”で凌ぐのも良いかもしれませんね。
とにかく先人の教えに従い“う”のつく食べ物を食べて夏バテを乗り越えましょう!